前回からの続き。
私は先生のようなパワーがあってはじめて先生のような威力が出せるのではないかと思うようになった。そんなある日読んだ
フルコンタクトKARATE誌に木村政彦先生と塩田剛三先生の対談が載っていた。
塩田先生談
合気道はね、体によどみを作らないために筋肉を鍛えてはいけないんだ。 しかし、若い頃はそんなことわからないから、植芝先生に隠れて鉄アレイを持ち上げたりして、見つかるとよくおこられた。 しかし、若いうちは体に力をつけたいと思うのは自然で、理屈はあとでいいから、とにかく目一杯稽古してればいいんだ。塩田先生のような天才ですら植芝先生に隠れて筋トレをする。俺もまずは力だ!と思った私はボディビルのジムに通い筋トレをはじめた。大学卒業後、最初の会社で体調を崩したこともあり痩せていた身体にまた大胸筋が戻ってきた。少しづつ上げるバーベルが重くなってゆくのは実感できるし、筋肉を使って疲れると飯も美味い。30才くらいにはまたフルコン時代のようなアスリーツ体型に戻ってきた。
さて、大胸筋はもどったがパンチ力はもどらない。それではと久しぶりにサンドバックなど突いてみても手首が疲れるだけで大差ない。なにしろ仕事の傍らの稽古なので時間もしれている。学生時代の腰痛が復活したことをきっかけにウエイトはやめてしまった。
ウエイトをやめたのちはサンチンを繰り返した。武術は半ばあきらめ、健身法としての力を抜いたサンチンである。それでも繰り返すうちにハラまわりがしっかりし、足腰にも粘りが出てきた。さらに力を抜くことでサンドバックをたたいていた時期より打撃力も増してきたのである。
そうか!
ウエイト、筋トレの類を行わないと不安だったのはサンチンだけで鍛錬になることを知らなかったからだったのだ。否、空手の先生は「力を抜いてサンチンをやれ」と指導されていた。しかし不肖の弟子である私は結果としてできた先生の技の威力ばかりをみて実は先生の指示を守っていなかった。正しいサンチンを先生に示していただきながら自分のサンチンはカタチだけだったのだ。サンチンをいくらやっても鍛えられなかったので手っ取り早い代用としてウエイトに手を出していた。
今、武道上達法研究会の会員たちには特にウエイトを禁止していない。ただ競技経験もあり、筋肉隆々のものでも入会当初から「突き」のできたものは極めて稀だ。ベンチプレスのような「押し」になっているケースがほとんどである。最初は筋トレに未練を残す会員たちも3ヶ月程度でサンチンが実はキツイものであることがわかる。ウエイトトレーニングなしでもパンチ力があがることを理解すれば自然にウエイトに興味を示さなくなる。私が10年以上かかって理解したことを3ヶ月で理解するのだ。
限られた時間での稽古である。効果が高い稽古の優先順位があがるのは当然だ。