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スピードアップのトレーニング

当会会員のS君は高校時代空手部に所属していた。無理なパワートレーニングを指導されたせいか入会当初は突きのスピードが非常に遅かった。

「スピードがないな、高校のクラブでもそんな指摘がなかったか?」
「ハイ、スピードがないと言われました」
「で、どんな指導をされた?」
「もっとスピードを出せ、と言われました」

「それで?」
「それだけです」
「は?それだけ?」
「それだけです」
「・・・・・」

学校の先生が成績の悪い生徒にお前は成績が悪いからもっと勉強しろ、といったレベルの指導である。
程度の低い指導者だな、とは思ったが日本のスポーツ界ではこの手の指導は珍しくないだろう。カラオケで「ヘタクソ!」と野次っていれば歌が上手くなるのだろうか。

閑話休題、基本練習を繰り返してもスピードが遅い人は「スピードを出す」という行為を難しく考えすぎているケースも少なくない。

例えば無意識に熱したヤカンなどに手が当たる。「熱い!」といって手を引っ込める。このとき、筋トレやコンビネーション稽古を行わずともかなりのスピードが出ているはずだ。もちろん空手に応用するには次の段階として

1)無意識に出たスピードを意識的に出せるようにする
2)本能的なだけの動きを空手的な動きに改造する

というプロセスを経る必要がある。それほど難しい指導ではない。自然な動きの延長であるからだ。




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幻の弧拳打ち

マンガ「空手バカ一代」のオープニングはニューヨークの暗黒街の一室、マス大山がまわりを囲んだギャングを一瞬で制圧する場面である。このとき両脇に立つ悪漢をKOしたのが弧拳打ちだ。

弧拳打ち − 曲げた手首の外側を打ちつける技


 大山倍達先生の書かれた技術書には弧拳にかなりの頁が費やされていた(ダイナミック空手、百万人の空手など)。実戦では正拳を握る暇がないので弧拳は有効な技となるといった説明だった。

 フルコン空手時代、弧拳を試合や通常の組手稽古で見たことは一度もなかった。私は護身に有効なら、と思い手首を曲げた形での腕立て伏せなどを行っていたが、普通の体力、体格では威力は出せそうになかった。また、少々鍛えてもかえって自分の手首が怪我しそうに思えたものである。もし弧拳を使うタイミングがあったとしても手刀や裏拳、鉄槌といった弧拳より安全な技術も存在する。黄帯になるころには弧拳への興味は薄れていた。

 沖縄空手の先生からは弧拳は最初から曲げた手首を叩きこむものではなく、手首を柔らかく使う攻防の中で使用するものである、と指導された。ポイントは
1)手首の真ん中を当てるのではなく親指側に近いところを使用する
2)アゴやボディに打ち込むのはまれ、攻防一如(いわゆる交差法)として相手の前腕に当てることが多い
3)両手同時に使用する
4)猫足立ちとセットになることが多い
というものだった。また、ダイナミック空手の大山先生の写真を見ながら「大山先生は猫足立ちが安定しているし組手も今のフルコンの人たちと違う、そやから弧拳も実際に使えたんや」と仰った。

 私の教室では弧拳の使用法をたまにレクチャーするが多くは猫足立ちを指導する際の受け技(というより攻防技)としての紹介である。猫足立ちと柔らかい手首の動きができないと使えない。逆に言えば猫足立ち、手首の柔らかさを創る稽古として有効ということだ。

中段突き、上段突き − 基本稽古考

素人の無茶苦茶な攻撃は案外受けにくい。多くの場合威力はないので素手だとなんとかなるにしても、これが殺傷力があるもの(刃物など)だと素人の無茶苦茶攻撃は中途半端な玄人テクニックより受けにくいと思う。今井伸郎(坂本龍馬を暗殺した剣客)の有名な言葉、「剣術をやった相手のほうが斬るのは簡単」ということになるのだろう。

さて、多くの流派で基本稽古(一人でのその場突きの稽古)を行う。指導者によっては「上段を突いているのか、中段を突いているのか、はっきり見せて使い分けろ!」という指示を出す人もいる。

一概に否定はできないだろうが極端に上段、中段、さらには下段突きをはっきり「見せ分ける」癖はかえって読みやすいパンチを創ることにもなりかねない。少し拳を動かしただけでコースの読めるパンチは一種のテレホンパンチである。指導者が上段突きと中段突きを離れた位置からはっきり区別できるということは戦う相手にも区別しやすいということである。

ボクシングなどでも上段、中段の使い分けは行う。しかしボクシングの場合はスパーリング、マススパーなどで相手に「中段と思わせるような上段(あるいはその逆)」を稽古するシステムも確立している。つまり相手の予測を裏切るための稽古を行っている。一般の空手はどうだろう?

私が教わった沖縄空手では「基本突き」は稽古体系にあったが「上段突き」「中段突き」の区別はなかった。自然な高さ(打ち終わった後の拳の位置が肩の少し下)を突いていれば上段、中段は必要に応じ自然に使い分けられるということだった。基本技はそのまま実戦で使うものではない。突きも同様なのである。

基本の突きは腋を締めろ!は正解だが・・・

大学時代、フルコン空手の基本稽古ではサンチン立ちから左右交互に突きを繰り出す練習を行った。「基本の突き技を繰り返す稽古は強いパンチ力をつけるために重要」という理由だった。その際の注意事項として体重を乗せることと同様に指摘させられたのが「腋を締めろ!」ということだ。

体重を乗せることは力学的にも合理性があるが腋を締めることの重要性については納得のいく説明をしてくれた先輩はいなかった。私も含め、皆「基本だからなんとなくこうしなきゃなんねえな」と言った感じで練習していた。

さて、自由組手になればほとんどの部員は腋を空けて大振りのパンチをはなっていた(顔面パンチ反則といったルール上の問題もあるのだが)。
それでもやはり「やはり基本なんだから大事なんだろうな」と漠然と皆考えていた。

基本の左右突き稽古は当会でも行う。その場合の注意事項は「身体をしゃくるな、腋が自然に締まるように」である。締めるのではなく「自然に」締まるのだ。

難しいことではない。まっすぐ立って肩から先の力を抜けば自然に腕はダランと下に落ちる。当然、腋も締まっている。突き技の稽古では拳は前方に向かって進むが肩の力は抜いたままなので腋は締まったままである。基本の突きで腋が締まることは武術の原則とも言うべき脱力とセットとして考えるとわかりやすい。

逆に言えばボディビル的パワーで打つことを基本とする流派の場合、必ずしも基本稽古での腋の締めを重視する必要はないように思える。

続・蹴り技考

沖縄空手をはじめたとき、蹴り技の使い方について指導を受けた。手技で間合いを測り、とどめに威力のある蹴り技を使うのがよい、ということだった。通常はフルコン、寸止め空手とも間合いの保てる蹴り技で相手との距離を調整し、相手の隙をみて接近戦にもちこんだ後は器用に動かせる手技で極めてゆくケースが多い。

スポーツ空手と逆なんですね、と質問する私に先生は「そうだ、安定性に欠ける蹴り技は多用しない。威力のある蹴り技は接近戦でとどめを刺すために使うのだ」と仰り、突きがやっと当たるくらいの間合いから私の手首の関節をとり、受け技もブロック技も出せない姿勢にして脇腹に鋭い蹴りを放った。もちろん寸止めされるのであるが身体の中を鋭い槍が通ったような感触がつきぬけた。

いわゆる総合格闘技ではフルコン空手などに比べ蹴り技、特に高い蹴り技は多用されない。威力の大きい蹴り技も禁じ手の少ないルールの中だと掴まれてしまった場合は攻守逆転してしまう。また相手の急所に正確に当てこむ意味でも手技に比べると確実性に欠ける。相手の肘などを蹴ってしまい、攻撃したほうが足を怪我してしまうケースは少なくない。もちろん先生がされたように相手をトラップした状態であれば安全性、確実性ははるかに増す。
プロフィール

古流修行者

Author:古流修行者
大阪、三木で沖縄空手を指導しています。東京稽古会も活動中。型で身体を創り、組手に活用します。興味をもたれた方はjyoutatsuhou@gmail.com までご連絡ください。

武道上達法研究会 古伝沖縄空手指導日誌

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