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顔面ガードは大事だが・・・角を矯めて牛を殺す

学生時代のフルコンタクト空手(サバキ空手)では顔面ガードを重視された。

間違った指導ではない。しかしたかだか空手歴3年程度の人物に指導させるとトンデモテクニックが伝授されることが少なくない。クラブのOBは「左パンチを打つ時には右手を開いて左側の顔面をカバーする、右パンチを打つ時には左手を開いて顔の前におく、これを永遠に繰り返すのが正しい基本じゃ!常にどちらかの手を顔の前に置け!」と指導していた。打撃系格闘技をされている方はこの技術が可能か、一度試してみるといいだろう。

組手ルールはいわゆる極真ルールだった。最初は顔面攻防を意識した構えをとっていても組手に熱中すれば顔は前に突き出しながら手は腰の辺りまでおろし、大振りパンチの左右連打を相手を押し出す組手を行った。やはり組手で押し負けるのはカッコ悪いのだ。顔面を意識する余裕はなかったのが正直なところだ。

経験なしに理論だけで技術を創るとときにトンデモ技術になってしまう。
一部の天才を別にすれば顔面攻防を覚えるには顔面攻防のある組手をするしかない。
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技が盗まれるぞ!?

大学で空手をはじめた当時、フルコン空手の教科書といえば大山先生の著書くらいしかなかった。購入して参考としたが基本(突き、蹴り、受け)も約束組手で大学で教わるもの(サバキ空手)とはかなり異なっていた。

真偽は不明だが先輩によればフルコン空手の同好会結成当時、他流空手や少林寺拳法のクラブが技をが盗みに来るので明らかにスパイとおぼしき人物が周囲にいた場合、約束組手やコンビネーションはすぐに中止し、体力運動などあたりさわりのないものに切り替えたとのことだった。

その後一冊の本が出版された。当時空手界ではブームになった本だ。



「これはヤバイぞ、サバキのテクニックがすべて他流に習得されてしまうぞ!」という同級生もいた。

で、肝心の芦原先生は巻末で「この本を読んでサバキができるようになったと思いたい奴は思えばいい、本当のサバキはできないよ」と書かれていた。

今では多くの格闘技雑誌がこれでもかというばかりにいろいろな流派の秘技(?)を公開している。本を読んだり、見学しただけで盗まれるような技術などたいした技術ではない、という自信の表れだったと思う。先生は「芦原のサバキは誰にもできないよ!」と語っていたという説もある。

技術は稽古の裏打ちがあってはじめて実用可能となるものだ。


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ただ一度の試合 (後編)

前回より続く。

私はポイントで相手を上回っていたしダメージのある攻撃はほとんど受けていなかった。しかし突然攻撃ができなくなった。

酸欠だ。スーパーセーフに慣れていない私は防具をつけたときの呼吸法もわからず日ごろと同様の荒い息使いで掛け声を出しながらラッシュを続けていた。どの程度の時間が過ぎたか定かではないが金魚鉢で無理やり顔面をおおわれたかのごとく呼吸も視界も苦しくなった。首つりをしながら闘っているかのごとく動きがとまり逆に相手のパンチを何度も顔面にもらってしまった。

いかん、逆転された。相手も疲労していたのだろう、私は必死に相手のサイドにまわりこみサバキ空手の回し崩しで相手の頭を下げさせると顔面に思い切り膝蹴りを叩きこんだ。

素面ならかなりのダメージを相手に与えたはずだ。しかし防具の特性上鼻や口にはほとんどダメージを与えることはできない。
防具 (スーパーセーフ)

防具の薄い側面を攻撃すればよかったのだが日ごろの稽古と違う動きは咄嗟にはできないものだ。

最後の力を使い果たした私はもうほとんど動くことはできなかった。序盤とは逆に相手のパンチで押し出され結果はポイント負け。敗戦は悔しくもあったがそれよりもへとへとになるまでで戦った爽快感のほうが勝っていた。防具を外すと空気が美味かった。型稽古や約束組手ではこの感じはえられまい。私が若い会員に「ルールの制限はあっても若い時期に試合を経験したほうがいい」と助言するのはこのときの経験も大きい。

試合後。横になったままダメージから回復中の私に相手が握手を求めてきた。互いのレスペクトを掌から感じた。
ラグビー経験のない私にこの言葉が理解できた。
「ノーサイド」

(この項、完)






ただ一度の試合 (中編)

前回から続く。

Tと私は指導面でしばしば意見が対立した。

当時後輩の指導は私とTが中心になって行っていた。一応フルコン空手同好会の建前は「実戦空手」だったので顔面攻防等も念頭に置いていた。Tは「コンビネーションのときに顔面ガードを意識していれば顔面攻防は十分」といった考えのようだった。

私は「一人稽古で顔面に手をおいてもあくまで意識している「つもり」に過ぎない。顔面への攻防を意識するならある程度自由な形式での相手の攻撃に対処する稽古をしなければダメだ」が持論だった。

グローブ空手や総合格闘技、さらには素手で顔面を殴り合うルールすら珍しくない今日なら上記のような論争すら滑稽だろう。しかし当時は「極真ルールこそ最高のルール」という考えも少なくなかった。

さて、Tのあっけない敗戦はある意味持論の正しさが証明されたとも言えたがやはり「実戦空手」を標榜する会としてこれ以上の敗戦は許されない。私はTの敗戦を分析した。Tは確かに顔面ガードを意識してはいたが得意の回し蹴りの間合いを保ち、そこから一気に前進したときにカウンターをもらっていた。端的にいえば日ごろの稽古と違う間合いでの試合を行ったのだ。

私は「付け焼刃のコンビネーションなど役に立たない、日ごろのパンチやローキックのラッシュだ!」と戦法を考えた。戦法と言えば聞こえはいいが要するにしゃにむに突進するだけだ。相手を見た。私より一回り大きく、おそらく体重80キロはくだらない相手だったのでパワー負けしないか不安だった。

試合開始の合図とともに私は一気に相手のふところに飛び込み上段、中段にパンチのラッシュ!私もスポーツ体力は充実している時期だ、パンチの威力というより相手をフルコン空手式の「押し出し」で場外に出しポイントを重ねた。

「フルコンで鍛えた体力は案外使えるじゃないか!?」と思った。しかし意外な伏兵があった。

(この項続く)




テーマ : 空手
ジャンル : スポーツ

ただ一度の試合 (前編)

フルコン空手ではオープントーナメントという大会エントリー形式がある。様々なレベルのオープン大会があり、自分に適したルール、レベルに応じて試合にエントリーできる今はいい時代だと思う。

私がフルコン空手現役時代(学生時代)はフルコン空手の試合は極真会館をはじめトップレベルの選手のみのものであり参加も敷居が高いものだったがそれでも大学空手を引退する時期から少しづつこの形式の試合が一般化されつつあった。

大学時代、試合に出た経験は一度しかない。大学4年時、後輩の紹介である流派のオープントーナメントに同期で主将だったTとともにエントリーした。体力(スポーツ体力)の全盛時に試合を一度してみたい、という欲求は抑えられなかった。小規模ながら関西を中心にかなり実力が知られつつある流派だった。

大学ではいわゆる極真ルール(手での顔面攻撃なし、投げ、つかみなし)で組手を行っていたがこの大会は頭部のみスーパーセーフ着用のKOおよびポイントで勝敗が決まるルールだった。

最初にTが出場、Tはローキックと膝蹴りが得意で後に正道会館王者となる川地選手とも戦ったことがあるパワーファイター。コンビネーション(サバキ)も巧みだったが自分よりも小柄な選手に開始後わずかな時間で軽い顔面パンチを何本かもらい、あっさりポイント負け(顔面パンチが入ればポイントになるルールだった)。あれあれ、と応援していた私も後輩も落胆。

やはり顔面攻撃が入ると戦い方がまったく異なる。順番を待ちながら私は戦法を考えた。

(この項続く)

テーマ : 空手
ジャンル : スポーツ

プロフィール

古流修行者

Author:古流修行者
大阪、三木で沖縄空手を指導しています。東京稽古会も活動中。型で身体を創り、組手に活用します。興味をもたれた方はjyoutatsuhou@gmail.com までご連絡ください。

武道上達法研究会 古伝沖縄空手指導日誌

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