FC2ブログ

逆突き

ボクシング (スポーツ入門双書 (10))
高比良 靖男
ベースボール・マガジン社

このアイテムの詳細を見る


学生時代に読み返した記憶がある。
本書の初版は1962年、写真や図解より文章が多く純技術書としては読みにくい部分もあるが練習方法、競技への姿勢など、怪しげな武道本よりはるかに哲学を感じさせる一冊。

本文48ページからの引用。
「右のストレートは、フィニッシュ・ブロー即ち止めを刺す一打です。(中略)ただし右手はやたらに多く使うことは禁物で、十分確実性をつかんだときにのみ使用すべきものです」


さて、先日の稽古での自由組手。有名伝統流派二段のU君、自由組手で大きく半身になり、右手を大きく後ろに引いて逆突き一発を狙っているのが姿勢からうかがえる。

本人によれば意識していない、否、むしろ逆突きは狙わないようにしているとのことだったがやはり長年身体で覚えた動きは簡単には矯正できないということだろう。伝統空手の逆突きはボクシングでいえば右ストレートである。

逆突きは威力の大きい技だが構えた拳から相手までの距離が遠すぎる。名選手ならともかく、普通に鍛えた程度のとびこみ逆突きでは相手にあたえる体感速度はそれほどでもないはずだ。トラップやジャブもなくいきなりの飛び込み突きは「一か八か」といった要素が強い。またアピールしなければ旗の上がりにくいいルールも関連しているのではないか。「相手にわかりやすい」ということは「審判にも見やすい」ともいえるからだ。

ホームランを狙っても打率が低ければ信頼性にかける。


スポンサーサイト

受け身論

かなり昔の話だがテレビのバラエティ番組に某武道の指導者のゲストがお笑いタレントに崩し技をかけた。通常ならば綺麗に受け身をとるか、膝から落ちるなどして技の効果を観衆にアピールするところだ。

ところがそのお笑いタレント、最初の軽い崩しで恐怖心からか大げさに足をバタバタ動かし、中途半端に逃げるためなかなか倒れない。そこを無理に指導者氏が腕関節をとりにゆくものだからいささか演武としては不格好だったことを覚えている。

いわゆる演武会系の武術で経験者にはかかる技が初心者にかからないケースが少なくない。有名な古武術家もセミナーで素人に技をかけそこなう。それをもって技術が意味なしとは思わないが演武会には別途演武会用の技術が必要な教訓とも言える。

当会は演武を目的としていないがそれでも日常の稽古で技がかからないのは格好のいいものではない。しかし、天下の達人でもないものが初心者にも屈強の格闘家にも同レベルで技をかけられるというのはむしろ不自然だ。

受け身の稽古は怪我の防止もあり、ある程度は必要である。しかし、間違えた稽古をしてしまうと稽古するほど技がかかりやすい身体になってしまうこともある。当会では受け身の稽古時間は僅少である(稽古時間に限りがある)。もちろん技にかかるための稽古は行っていない。



初心者相手の投げ技の稽古

何度か書いているが私の沖縄空手の先生は稽古で投げ技を重視していた。自由組手で投げ技を多用するためのトレーニングではないく型から生じる一連の動作の結果、相手を容易に投げられる状態(≒死に体)にできているかということを検証するためだ。

軽量や初心者への投げ技稽古は相手を倒すこと自体にはあまり意味がない。
足腰がまだできていないのでパワーだけでも容易に投げることができるが、パワーで投げる癖がついてしまい、力だけの空手となってしまう可能性がある。逆に極力パワーを用いず、正しい姿勢をキープすることのみを意識して投げ技の稽古を行うことが重要だ。

初心者相手の場合、投げられることに対する恐怖心があるし、受け身もうまくととれないので大衆受けする綺麗な投げ技とはならず、尻持ちをついたような形になることも少なくない。しかし、相手を死に体とできるのであれば稽古として意味がある。演武ショーとしては見栄えがしないが。

ある程度受け身がとれ、しかも表演が得意な相手と稽古した場合、十分に効果がない場合でもサービスして綺麗に受け身をとってくれる場合がある。技をかけるほうも「投げたぞ!」という快感があるので十分技ができたような錯覚をしてしまう。投げ技の稽古には初心者相手のほうが望ましい場合もあるのだ。

技の多きを誇るなかれ ‐ 続・モチベーションの維持

前回、一般的な道場で多くの一通りの約束組手(攻防)のパターンを覚えると稽古に飽きが生じてくるという記事を書いた。

初心を忘れてはいかん、と説教するのは簡単だが慣れたことに飽きがくる、というのは人間の自然な感情であるし、マンネリ化を招かないことは指導者の技量ともいえる。自由組手、さらには試合がある流派ならば勝敗を競わせることで稽古への参加、上達へのモチベーションは比較的容易である。かの芦原英幸先生も一通りの技術を覚えたところで大山道場を退会するつもりだったのが先輩との組手で顔面を蹴られ、血まみれにされたことで「この人に勝つまでは空手をやめない」と考えを変えたとか(自伝「流浪空手」)。

いっぽう自由組手を行わず、約束稽古を繰り返す道場の場合、約束稽古のパターンを増やすことでモチベーションの維持をはかるところもあるようだ。たとえば「短刀どり」という一つの技術について

「右短刀打ち下ろしに対する投げ技  A 〜 Z」
「右短刀打ち下ろしに対する固め技  A 〜 E」
「右短刀袈裟切りに対する投げ技 A 〜 Z」
「右短刀直突きに対する投げ技  A 〜 Z」

といった具合である。もちろん左技に対する場合、対当身技や衣服を掴まれた場合、手首を握られた場合などバリエーションは無限といっていいほど広げることができる。昇給、昇段の審査には「3級には技A〜C」「初段の審査では技H〜J」という具合に難度の高く見える技術を項目に加えることで稽古を続けることの興味を維持するのである。

この指導メソッドは一概に否定するわけにはいかないが

1)実際には相手はどのような技を用いるかわからない
2)同じ技であっても受ける相手のレベルによって効果が変わってくる

という欠点を克服できないケースが多いように思う。例えば襟を掴まれた場合において相手の手首に間接技をかける、といった技法は虚弱者には有効だろうが柔道の高段者と対した場合こちらがよほどの達人でもなれば関節を決める前に宙に回されてしまうのではないだろうか。

ある程度の技のパターンを覚えることは重要だが同じ人間である以上、相手の腕は二本、足も二本、こちらも同様であるのでいくつかの典型的なパターンを覚えれば数は事足りる。稽古すべきは技の数ではなく技の深さである。

モチベーションの維持

会員諸氏の技量が順調に伸びている。特に著しいのは入会二年弱のS君、W君、O君、M君達である。当初、体験参加の後に「難しそうなので自分にできるか不安です、入会してもいいのでしょうか」と問い合わせてきたものもいるが現在では先輩達にぐんぐん迫っている。

多くの道場では会員維持には入会後1−2カ月が一つのヤマ、その後2年程度の時期にもう一回ヤマが来るという。入会後1カ月程度でモチベーションの低い会員が去る。そして、この段階を乗り越えても入会後1年くらいで一通りの稽古パターンはわかってくると次のヤマが来る。稽古も惰性になり、飽きが来たところで道場から去る、といったところだろう。大学のフルコン空手の流派も道場出身の先輩によれば「道場では4級くらいでやめるヤツが多いなあ、ひととおり約束組手のパターンは覚えるし、素人のころよりはパンチも蹴りも身についてくるし・・・」とのことだった。

型の順番や約束組手の順番、オリジナルの体力運動など、多くの道場ではそれなりに稽古パターンは持っている。1年ほど経過してパターンを覚えれば次に来るのはマンネリ化である。少なからぬ稽古生が「技はこんなもんで終わり、これ以上のテクニックの反復をしても強くなれるとは思えないし、あとは体力だけだから自分には限界がある」と感じてくるのではないだろうか。

いささか我田引水になるが「生きた型」が身についていれば稽古パターンを覚えた段階から自分なりの鍛錬法や自由組手技法が自然に見つかるようになってくる、そして自分独自の稽古ができるようになるとさらに稽古が楽しみになる。強制ではない。各人が自然にそう感じるようになるのが当会の特徴である。

身体の歪みと姿勢

身体の歪みについては何度か記事にしている。当会では新入会員への指導の多くは姿勢の歪みを指摘することからはじまる。ゆがみがあるのに人間相手の運動(ハードなものではないにせよそれなりに腰や背中に負担はかかる)を繰り返させると術の習得以前の問題で身体が壊れてしまうからだ。

最近は会員が増えたおかげで、似たような身体の歪みを持った会員も複数いる。本日の稽古では新入会員のMA君の腰が反り返っているのを入会二年のMH君に矯正させた。MH君自身が入会時かなり腰が反り返っており、重度の腰痛持ちであった。現在はかなり具合がよくなっているようが、あらためて同様の癖のある身体をチェックさせることで入会時からの姿勢の変化に気付かせるのである。

同じような身体の癖を持ったもの同士を稽古させることで自分ではわかりづらい自分の身体の癖を見ることができる。「人の振り見て我が振り直せ」は道徳的な意味のみにとどまらない。
プロフィール

古流修行者

Author:古流修行者
大阪、三木で沖縄空手を指導しています。東京稽古会も活動中。型で身体を創り、組手に活用します。興味をもたれた方はjyoutatsuhou@gmail.com までご連絡ください。

武道上達法研究会 古伝沖縄空手指導日誌

FC2Blog Ranking

アクセスランキング
アクセスランキングに参加しています。ご来場いただいた方は上のバナーをクリックいただければ嬉しいです。
[ジャンルランキング]
スポーツ
592位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
格闘技
43位
アクセスランキングを見る>>
カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
QRコード
QR
検索フォーム
おすすめ本・DVDなど
Twitter
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

フリーエリア