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蹴りの一人稽古 - 指導を受けるということ

昨年入会のT君は青年実業家。多忙な身であるが時間をなんとか捻出して稽古に出席する意気込みが感じられる。このところ上達は著しい。

このT君、フルコン空手を長く稽古してきたこともあり、前蹴りがどうしても膝をスナップして叩きつけるような蹴り方になっていた。膝スナップは回し蹴りだと有効だが前蹴りだと威力が薄いばかりでなくヒットさせることが難しい。さらには上手く当たらないとかえって自分がダメージを負うことがある。フルコン空手で蹴り足の甲が相手の肘にあたり、蹴ったほうが指や足甲の骨を骨折することはよく見られる。前蹴りは膝の力で蹴り込むのではなく足全体を脱力することで重く、かつ連続技に応用の効く蹴りにすることができる。

さて、T君の蹴りを確認したところ見違えるほどの上達。私の以前所属していた流派で言えば1ヶ月ほどで6級→1級レベルに進級したようなイメージだ。聞けば一月前に私が教えた蹴りのトレーニングを欠かさず行っていたとのこと。多忙なT君でも可能な椅子に座ったままでの蹴りのトレーニングだ。いくら忙しくても座ったまま軽く足を動かす程度の時間は捻出できる。何より「これはいいからやっておけ」と指導したことを次回まで復習するする姿勢がよい。

現在教えているクーサンクーの型では蹴り技を多用する。蹴りのための蹴り、型のための蹴りではなく「使える」蹴りになるまであと少しだ。
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脱力は楽な運動ではない

今月号の「秘伝」では脱力が特集されていた。

「脱力」という言葉が市民権を得てもう10年以上になるだろうか、「リラックス」とか「無駄な力を抜いて」とかいう指導は昔からあったが脱力自体が秘技である、といった紹介のされ方は90年代後半の古武術ブームの時期からはじまったように思う。

脱力がポピュラーになってから武的なものに興味を持つ人が増えたのとすれば営業面で裾野を広げた効果は少なくないだろう。脱力ならある程度は誰にでもできるからだ。

ところでこの「脱力」という言葉、特に「全身の力を完全に抜け」と指導すればその時点で矛盾があるはずだ。本当に全身の力が抜ければ倒れてしまうはず(全身麻酔と同じ)。正確には「不要な部分の筋力をできるだけ脱力せよ」というのが正しいと思う。さらには「不要な部分の筋力を抜くことで必要な部分を徹底的に鍛える」運動とも言える。

さて、当会のサンチンは力を抜いて行う。身体をまっすぐし、あとはとにかく力を抜けと指導する。なんども書いているが会員諸氏は入会後3ヶ月くらいたつと力を抜いて行うサンチンのキツさがわかってくる。

競技で鍛えたものほどサンチンで苦悶の表情を浮かべる。これまでの筋トレで養成した力を使えない状態のまま型をおこなうので陸に上がった魚のような状態になるのだ。身体が思いどおりに動かないことによる精神的な疲労も加わる。

健康のための脱力運動ならここまでしなくともよい。疲れたら休む。緊張もさせない。虚弱な人が激しい運動を急にはじめるのは考えものだ。しかし、実用武術であるなら鍛錬は不可欠。鍛錬であるなら疲れたからといって頻繁に休んでいては効果も半減だ。疲労を目的としてはならないが、実用であるならばある程度のキツさがあるのは当然である。



対柔道戦法? - 相手の技への対処法

秘伝・少林寺拳法 に開祖・宗道臣先生と道場破りの柔道家との対戦が記されている。柔道家に袖・襟を掴まれたところから少林寺拳法の技術で逆に投げ飛ばしたといったものだった。

これを読んで「そうか!少林寺の技術があれば柔道家に掴ませても対処できるんだ!」と考える初心者がいればあまりに単純にすぎよう。これが実話だとしても宗先生の以下の条件を念頭に入れる必要がある。

1)戦後の荒々しい時代に一流派を起こすほどの傑出した技術を持っていたこと
2)柔道、古流柔術の経験があり、ある程度相手の技量が読めたこと

キャリア3年程度の柔道家なら先に道着の襟、袖をしっかり掴めば、素質、キャリアが同じ空手家や拳法家、合気道家を振り回し、倒すことはそれほど難しくはない。流派間の優越ではなく「襟・袖を掴ませる」、すなわち先手を取らせた段階ですでに勝率が大幅に下がっていると思わねばならない。

柔道の試合では相手に組み勝つ(持ち勝つ)ことが重要となる。柔道技に長じたどうしでも「いいところ」を持たれれば大いに不利になるのだ。まして柔道の技術のないものは相手に持たせた段階ですでに「組み負けている」ということだ。

相撲で一方的な負けになった場合「相撲をとらせてもらえなかった」という表現がある。対柔道だけではない。ある技術に長じたものと戦うにはその技術を「出させて封じる」のではなく「その技術を最初から発揮させない」ことが重要になるのだ。

以下、ダイヤモンド・オンラインからの抜粋。

日本からジョブズが生まれない4つの理由。戦時中から変わらない日本的組織の謎

日本兵は夜襲のとき、地下足袋を履くことで音もなく近づき、闇の中で米兵が気づいたときには、暗がりのほんの数メートル先にいるような神出鬼没さで当初、米軍を驚嘆させました。

 では、米兵も同じように地下足袋を履いて、音をたてないように近づいて日本軍に夜襲をかけたでしょうか。

 いいえ、違います。

 米軍は照明弾や曳光弾(夜間に弾道が光る)、鉄条網、集音器などの武器、装備を徹底することで、夜襲そのものが機能しない状況をつくり上げて日本軍を圧倒したのです・・・  

  

テーマ : 武道
ジャンル : スポーツ

なぜウエイトをしないと不安になるのか(後編) 

前回からの続き。

私は先生のようなパワーがあってはじめて先生のような威力が出せるのではないかと思うようになった。そんなある日読んだフルコンタクトKARATE誌に木村政彦先生と塩田剛三先生の対談が載っていた。

塩田先生談
合気道はね、体によどみを作らないために筋肉を鍛えてはいけないんだ。 しかし、若い頃はそんなことわからないから、植芝先生に隠れて鉄アレイを持ち上げたりして、見つかるとよくおこられた。 しかし、若いうちは体に力をつけたいと思うのは自然で、理屈はあとでいいから、とにかく目一杯稽古してればいいんだ。

塩田先生のような天才ですら植芝先生に隠れて筋トレをする。俺もまずは力だ!と思った私はボディビルのジムに通い筋トレをはじめた。大学卒業後、最初の会社で体調を崩したこともあり痩せていた身体にまた大胸筋が戻ってきた。少しづつ上げるバーベルが重くなってゆくのは実感できるし、筋肉を使って疲れると飯も美味い。30才くらいにはまたフルコン時代のようなアスリーツ体型に戻ってきた。

さて、大胸筋はもどったがパンチ力はもどらない。それではと久しぶりにサンドバックなど突いてみても手首が疲れるだけで大差ない。なにしろ仕事の傍らの稽古なので時間もしれている。学生時代の腰痛が復活したことをきっかけにウエイトはやめてしまった。

ウエイトをやめたのちはサンチンを繰り返した。武術は半ばあきらめ、健身法としての力を抜いたサンチンである。それでも繰り返すうちにハラまわりがしっかりし、足腰にも粘りが出てきた。さらに力を抜くことでサンドバックをたたいていた時期より打撃力も増してきたのである。

そうか!  
ウエイト、筋トレの類を行わないと不安だったのはサンチンだけで鍛錬になることを知らなかったからだったのだ。否、空手の先生は「力を抜いてサンチンをやれ」と指導されていた。しかし不肖の弟子である私は結果としてできた先生の技の威力ばかりをみて実は先生の指示を守っていなかった。正しいサンチンを先生に示していただきながら自分のサンチンはカタチだけだったのだ。サンチンをいくらやっても鍛えられなかったので手っ取り早い代用としてウエイトに手を出していた。

今、武道上達法研究会の会員たちには特にウエイトを禁止していない。ただ競技経験もあり、筋肉隆々のものでも入会当初から「突き」のできたものは極めて稀だ。ベンチプレスのような「押し」になっているケースがほとんどである。最初は筋トレに未練を残す会員たちも3ヶ月程度でサンチンが実はキツイものであることがわかる。ウエイトトレーニングなしでもパンチ力があがることを理解すれば自然にウエイトに興味を示さなくなる。私が10年以上かかって理解したことを3ヶ月で理解するのだ。

限られた時間での稽古である。効果が高い稽古の優先順位があがるのは当然だ。

テーマ : 空手
ジャンル : スポーツ

なぜウエイトをしないと不安になるのか(前編) - 続・ライオンは筋トレをしない

前回のブログ「ライオンは筋トレをしないが競走馬はトレーニングを行うには少なからずコメントをいただいた。拙文を愛読いただいている方がおられることを実感でき、ありがたく思っている。

さて、私の悪文のせいで主旨が不明瞭であった点をお詫びしつつ、内容を整理してみたい。

1)ライオンが筋トレをしないことを理由に自分の練習をサボる口実を探すのは怠け者
2)ライオンは人工的な筋トレはしないがもともと動物としての強さがある上、獲物を追いかけることで自然に体力を鍛えている
3)馬も同様にトレーニングなしで人間より速く走る。ただし、競走馬のような特殊な世界ではその世界のための特殊なトレーニング(より速く走るためのトレーニング)を行う

といったものだ。特に筋トレは礼賛も否定もしない。以前も何度か述べたがパワーはあるほうがいい、というより本格的に武術を行うなら絶対に必要であるし、筋トレを行ってもリキみ癖や居つき癖の出ない人も多くはないが存在する。

さて、古武道や中国拳法、合気道の指導者にはウエイトトレーニングを戒める方が多い(私の先生もそうだった)。戒めるということは隠れてウエイト、筋トレを行う稽古生が実は結構いることの反証と言えるかも知れない。

沖縄空手をはじめて三年くらいたった時期の私には不安があった。先生の言うとおり(と自分では思っていた)、型を繰り返し、拳足の出し方、基本の手の位置もフルコン時代から変えた。しかし自分は強くなった実感がない、むしろフルコン時代のほうが強かった気がする。フルコン時代の自分はかなり筋力があったが社会人の今は筋力も落ちている。先生の空手は確かにすごい。しかし先生は腕も太く、パワーも強い。先生が否定していた筋力をなんらかの方法でつけなければならないのではないか - いや、ひょっとすると先生もパワートレーニングをしてるんじゃないか・・・・

(この項続く)

テーマ : 空手
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プロフィール

古流修行者

Author:古流修行者
大阪、三木で沖縄空手を指導しています。東京稽古会も活動中。型で身体を創り、組手に活用します。興味をもたれた方はjyoutatsuhou@gmail.com までご連絡ください。

武道上達法研究会 古伝沖縄空手指導日誌

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