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技の多きを誇るなかれ ‐ 続・モチベーションの維持

前回、一般的な道場で多くの一通りの約束組手(攻防)のパターンを覚えると稽古に飽きが生じてくるという記事を書いた。

初心を忘れてはいかん、と説教するのは簡単だが慣れたことに飽きがくる、というのは人間の自然な感情であるし、マンネリ化を招かないことは指導者の技量ともいえる。自由組手、さらには試合がある流派ならば勝敗を競わせることで稽古への参加、上達へのモチベーションは比較的容易である。かの芦原英幸先生も一通りの技術を覚えたところで大山道場を退会するつもりだったのが先輩との組手で顔面を蹴られ、血まみれにされたことで「この人に勝つまでは空手をやめない」と考えを変えたとか(自伝「流浪空手」)。

いっぽう自由組手を行わず、約束稽古を繰り返す道場の場合、約束稽古のパターンを増やすことでモチベーションの維持をはかるところもあるようだ。たとえば「短刀どり」という一つの技術について

「右短刀打ち下ろしに対する投げ技  A 〜 Z」
「右短刀打ち下ろしに対する固め技  A 〜 E」
「右短刀袈裟切りに対する投げ技 A 〜 Z」
「右短刀直突きに対する投げ技  A 〜 Z」

といった具合である。もちろん左技に対する場合、対当身技や衣服を掴まれた場合、手首を握られた場合などバリエーションは無限といっていいほど広げることができる。昇給、昇段の審査には「3級には技A〜C」「初段の審査では技H〜J」という具合に難度の高く見える技術を項目に加えることで稽古を続けることの興味を維持するのである。

この指導メソッドは一概に否定するわけにはいかないが

1)実際には相手はどのような技を用いるかわからない
2)同じ技であっても受ける相手のレベルによって効果が変わってくる

という欠点を克服できないケースが多いように思う。例えば襟を掴まれた場合において相手の手首に間接技をかける、といった技法は虚弱者には有効だろうが柔道の高段者と対した場合こちらがよほどの達人でもなれば関節を決める前に宙に回されてしまうのではないだろうか。

ある程度の技のパターンを覚えることは重要だが同じ人間である以上、相手の腕は二本、足も二本、こちらも同様であるのでいくつかの典型的なパターンを覚えれば数は事足りる。稽古すべきは技の数ではなく技の深さである。
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古流修行者

Author:古流修行者
大阪、尼崎で沖縄空手を指導しています。また東京稽古会も発足しました。型で身体と動きを創ることを中心としています。興味をもたれた方はjyoutatsuhou@gmail.com までご連絡ください。

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