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なぜ約束組手は大きく突くのか - 約束組手と崩し

一般的に空手道場では約束組手に多くの時間を割いている。

現在では下半身をどっしり構え、大きな突き技に対する約束組手を行う道場は減ってきているのではないかと思う(特にフルコン流派)。現在の約束組手の主流は以下のようなものだろう(2:15くらいから約束組手がはじまる)。




実際の組手はファイティングポーズからはじまるので約束組手もファイティングポーズから開始する、という発想だ。ここでは便宜上この種の約束組手を「実戦タイプ」と分類する。

ちなみに従来型の約束組手は以下のようなものだ。便宜上「伝統タイプ」と分類しよう。



実際に使う技を身体に覚えこませるという意味では実戦タイプは合理的な考えである。私が大学のフルコン空手で教わった約束組手もこのようなものだった。

沖縄空手の先生も約束組手を重視されていた。こちらは伝統タイプに近いものだった。

なぜ伝統タイプのような約束組手が生まれたか?についてはいろいろ仮説がある。極端な説では「昔の沖縄人はスピーディなパンチを知らず、四股立ちや前屈立ちのまま片手づつ相手を殴っていた」というものまである。多少の民族性の違いはあるだろうが本能にまかせて殴る、蹴る、取っ組み合うといった動作を行うなら素手でのリアルファイトにそれほどの違いがでるとは思えない。

明治の講道館柔道でも重視されたように相手に技をかける際には「くずし」という作業が必要になる。投げ技のみではない。打撃技でも相手の体勢が崩れた際(「虚」にされた状態)に打撃を与えればより相手に効果があることは多くの空手家が経験しているだろう。空手の場合、衣服をつかむ技を多用しないので崩しをかけるにも力任せでなく「間」をとる手法が大事となる。

実戦タイプの約束組手は崩れやすい(「虚」になりやすい)。総合格闘技で打撃系しか経験のない選手が簡単にテイクダウンを取られることからも理解されよう。

伝統タイプの立ち方(四股立ち等)の長所は崩されにくいことである。伝統タイプの約束組手は崩されにくい身体を創り、また崩しにくい相手に技をかける稽古をつむことで相手を虚にする稽古ともなる。インスタントに実用化はできないが型で創った身体の検証、相手を虚にする術の反復練習だ。

逆に言えば簡単に崩れるような伝統タイプの約束組手を行っている場合、稽古方法か立ち方自体が間違いの可能性がある。近年のフルコン空手界が伝統タイプの約束組手を行わないようになっているのはこのことを直感的に理解しているのだろう。
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Author:古流修行者
大阪、尼崎で沖縄空手を指導しています。また東京稽古会も発足しました。型で身体と動きを創ることを中心としています。興味をもたれた方はjyoutatsuhou@gmail.com までご連絡ください。

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