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指導料が高いから優れた指導とは限らない

若い頃、中国拳法を習ったことがある。中国武術はイカサマなものも多いと聞くが私の教わった先生は本物の実力を持った実戦派の方だった。ただ、月謝は非常に高額だった上、やれTシャツだ、防具を買うことになったからカネを出せ、と費用のかかる教室だった。結局お金が続かず短期間で辞めてしまった。

否、高額でも指導が丁寧で出席のたびに上達が感じられればもう少し続いたかも知れない。しかし、比較的早期に「この先生はお金はしっかり取るけどマトモに教える気はないな」と感じたことも去った原因の一つだった。

中国武術が日本で紹介された当初、松田隆智氏などの著書に「日本武術と違い中国武術は師弟の絆、心のふれあいがないと教えてもらえない」と書かれていた。これを都合よく理解し「中国武術はカネは二の次、絆さえあれば最高の指導が受けられる」と誤解した人は少なくない。正しくは「お金はしっかり徴収するのは当たり前、その上で先生に継続して気に入られてはじめてマトモな指導が受けられますよ」といったところだろうか。中国とのビジネスが一般化した今日、この手の神話を信じる人は少なくなっているとは思うが。

中国武術に限らず、かなりの高額(団体指導で一人あたり1レッスン五千円以上)の指導料を取られている道場、会派は少なくない。不景気でもお金のある人は多いのだろう。高額の指導料が必ずしも悪いとは思わない。10倍のレッスン・フィーを払っても10倍の速度で上達できたり、通常では到達しないレベルまで自分を上げることができれば満足度はむしろ高くなる。高額を払っても難病が治療できるのならばある程度はやむを得ないのと同様だ。

さて、私の周囲にも以前の流派や各種セミナーなどでかなりの高額の指導料を払ってきた人たちがいる。成果は?と聞けば「うーん、取り立てて凄い技を習得したとかいうことは・・・」と言葉を濁すケースがほとんど。印象としては
「マスコミに登場してるんだから凄い・・・と思うので高いおカネを出せば自分も同じように凄くなれる・・・と思います」
感じたがっているようだった。将来の期待感を持たせて利益を継続させるのはビジネスとしては優れている。商売上手なのはアメリカナイズあるいは中国ナイズされた方々が多いように感じる。

指導料の多寡は先生の方針もあり、高額だからといって一概に非難するにはあたらない。しかし、最初からロクに教える気もないのに指導料ばかり高額なのはいかがなものだろう。

「ニーズに応えずに利益を上げれば、それは詐欺だ」フィリップ・コトラー(アメリカのマーケティング学者)


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コメント

指導料の問題は、だんだん生活にきいてきますね。

わたしが習っている中国拳法も、正直、かなり高額です。
技術的にはイカサマではないと思いますし、多少ムラっ気はありますが、それなりにきちんと指導はしているとも思います(昔ながらの盗め、がベースではあるものの)。先生もまたその先生にかなり払っていたようです。
武器とか衣装はフリーなのが救いです。

中国は昔から拝金主義的なところがありますから、同族でなければ、まず金、そして信義により、より深いところまで教えるというのは、わりあい当たり前の文化のようですね。

「お金はしっかり徴収するのは当たり前、その上で先生に継続して気に入られてはじめてマトモな指導が受けられますよ」というのは、かなりその通りだと思います。

日本は、その点、侍は金銭を疎んじる傾向にあり(建前上は)、月謝制ではなく、心付け制だったようですから、ベースが安かったのですね。
もっとも武田惣角は謝金額によって教える内容が違ったとききますし、それに近いことは実際には昔からあったでしょうが。

それなりに習ってしまったので、簡単にやめる気にもならない一方、子供が大きくなって出費がかさんで来て、やばいです(^^)

松田隆智氏のおかげで(^^;、中国武術が神秘化され、高度な技術扱いされてしまったこともあって、中国式の謝金レベルが日本でも通じてしまったのでしょう。
一度通じてしまうと、今度はあまり安いと、おかしいのでは、という感覚になりがちですしね。

決して日本の武術(ルーツはどうであれ)が中国武術に劣るものではないと思うのですが。
(ちなみにわたしは、飲み友達に誘われうっかり入ってしまいましたが、特に中国だの日本だのと深く考えてませんでした。長く続けるつもりもなく、入門段階(学生)だとさほど高額ではなかったのですよ)

あと、単発のセミナーで、一気に自分のレベルがあがるなどと考える人は、ちょっと考え直したほうがいいと思っています。



ねこすけさん、コメントいただきありがとうございます。

中国人はお金の話をするのにためらわないことが多いですから別に武術家だからといって「お金は二の次」という発想をする、と考えたこと自体が今から考えると滑稽ですね。

どんな趣味でも本格的になればお金はかかるものでしょうが月謝が高額になったから必ずしも上級の指導を受けられるわけでもない、というのがこの世界の不思議なところですね、道場によっては月謝が上がるほど指導の内容が低下するところもあります。

「お金なんか二の次だよ!」とか著書には書いていても道場では「何はともあれまず集金!」という先生は多いのでは?著書で感動して入会した人は「あれ?」とか思わないんでしょうか(笑)



質問違いですが書かせていただきました

古流修行者様、ブログを更新ごとに読ませていただいております。
名前のとおりですが、運動神経も鈍く、中肉中背で力も強いわけでもないのですが30才を過ぎて武術を始めました。
ですが、最初4年は某フルコンを行ったのですが派閥争いで先生が選手だけ連れて独立解散。
次の2年は体力のあるうちにキックを行ったのですが、才能のないものに教えていても疲れるようになったと解散(選手もいたのですが国内で1位クラスの才能でないとだめだったようです)
今は中国拳法を始めて3年ですが、やはり術理をつまずかず理解し強い人に
指導が偏ってます。

今までも上手くできず強くなれないのは不器用だから倍練習しなければと、やってきたのですが、たまたまあたった先生がこうなのか、やはり教える方も才能あふれる方がいいのでしょうか。

練習に時間もかけ、どうしようもない時、質問もするのですが何か変わったような気がせず、何よりモチベーションが減っていくのが怖いです。

不器用さん、コメントいただきありがとうございます。戯文を愛読いただいているということで嬉しく思います。このところ更新が滞っており恐縮です。

ご質問の件、具体的な流派や道場名、また不器用さんの道場での様子などまったくわからないので想像するしかありませんが一般論として書かせていただきます。

1)フルコン空手 4年
2)キックボクシング 2年
3)中国拳法 3年

ということは年齢は40前後と察します。
フルコン空手の指導者の独立・道場解散についてはかなり空手、特にフルコン系については非常に多くみられる現象ですね。悪い意味での士族商法の道場が多く、上納金のキツさや流派内のヘゲモニー争いでの分裂は非常に一般的です。
かくいう私も大学で入ったフルコン空手同好会で「ずいぶん空手バカ一代のマンガと違うやないか」と空手への憧憬が薄れた口ですが(笑)

2)のキックについては無責任な指導者にあたった不運というしかないでしょう。

3)今通われている中国拳法の道場は先生がいてそれに準ずるくらいの先輩会員の方がおられるのですね?だとすれば先生は指導する力はあると思われます。

考えさせられる質問でもありましたので近日、記事にして回答したく思います。
また、個別に実名を出しての質問等あればメールをいただければ回答いたします。



ピリミッド型から脱却出来ない世界

古流・フルコンを名乗る特にマスコミ界で登場される「秘伝」的な名で売れている先生方には随分ひどい目にあった。結局、自分のPRの為だったら、金どころか命まで奪っても平気。政治権力まで使う「達人」「世界チャンピオン」等が多すぎる。

飲み食いも「ごっざんです」で終わり。「いや、別にいいんだよ」とは「金よこせ」という意味。

世間のそういう先生方の知名度がどれだけ低いかかも、一般常識も無い幼稚な先生ばかり。

もう、宗教団体の世界と同じである。弊害は己心にある達人たちにレッドカード以上のブラックカードを出したいぐらいだ!

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まとめtyaiました【指導料が高いからといって指導が優れているとは限らない】

若い頃、中国拳法を習ったことがある。中国武術はイカサマなものも多いと聞くが私の教わった先生は本物の実力を持った実戦派の方だった。ただ、月謝は非常に高額だった上、やれTシ...

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Author:古流修行者
大阪、尼崎で沖縄空手を指導しています。また東京稽古会も発足しました。型で身体と動きを創ることを中心としています。興味をもたれた方はjyoutatsuhou@gmail.com までご連絡ください。

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