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ただ一度の試合 (中編)

前回から続く。

Tと私は指導面でしばしば意見が対立した。

当時後輩の指導は私とTが中心になって行っていた。一応フルコン空手同好会の建前は「実戦空手」だったので顔面攻防等も念頭に置いていた。Tは「コンビネーションのときに顔面ガードを意識していれば顔面攻防は十分」といった考えのようだった。

私は「一人稽古で顔面に手をおいてもあくまで意識している「つもり」に過ぎない。顔面への攻防を意識するならある程度自由な形式での相手の攻撃に対処する稽古をしなければダメだ」が持論だった。

グローブ空手や総合格闘技、さらには素手で顔面を殴り合うルールすら珍しくない今日なら上記のような論争すら滑稽だろう。しかし当時は「極真ルールこそ最高のルール」という考えも少なくなかった。

さて、Tのあっけない敗戦はある意味持論の正しさが証明されたとも言えたがやはり「実戦空手」を標榜する会としてこれ以上の敗戦は許されない。私はTの敗戦を分析した。Tは確かに顔面ガードを意識してはいたが得意の回し蹴りの間合いを保ち、そこから一気に前進したときにカウンターをもらっていた。端的にいえば日ごろの稽古と違う間合いでの試合を行ったのだ。

私は「付け焼刃のコンビネーションなど役に立たない、日ごろのパンチやローキックのラッシュだ!」と戦法を考えた。戦法と言えば聞こえはいいが要するにしゃにむに突進するだけだ。相手を見た。私より一回り大きく、おそらく体重80キロはくだらない相手だったのでパワー負けしないか不安だった。

試合開始の合図とともに私は一気に相手のふところに飛び込み上段、中段にパンチのラッシュ!私もスポーツ体力は充実している時期だ、パンチの威力というより相手をフルコン空手式の「押し出し」で場外に出しポイントを重ねた。

「フルコンで鍛えた体力は案外使えるじゃないか!?」と思った。しかし意外な伏兵があった。

(この項続く)




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古流修行者

Author:古流修行者
大阪、尼崎で沖縄空手を指導しています。また東京稽古会も発足しました。型で身体と動きを創ることを中心としています。興味をもたれた方はjyoutatsuhou@gmail.com までご連絡ください。

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